1人が本棚に入れています
本棚に追加
瑞樹はそれぞれの花をもとに戻して、毅の前に戻って来た。
「毅はさっきの花言葉を聞いて、どれがいいと思う?」
「そうだな……。全部っていうと、ごちゃごちゃしすぎるよな?」
「うん。色もかぶるしね。でも同じ種類の色違いなら、組み合わせてもいいかも」
「そうか。なら、カーネーションかチューリップだな」
毅は腕を組んで、考え込む。そんな彼を見て、瑞樹は目を細めて微笑んだ。
(こんなに真剣に悩むなんて、よっぽど彼女さんが大事なんだなぁ。彼女もここまで想われて幸せだろうな)
「よし、決めた! チューリップにする! ピンクと赤で花束を作ってくれ」
「ん。いつまで?」
「今」
「今!?」
あまりにも突拍子もない言葉に、瑞樹は思わず立ち上がった。
「ちょっと、花はそんなに日持ちしないよ!? それにチューリップはだいたい5日程度しか持たないから、今から作っても枯れちゃうよ?」
「大丈夫。もう指輪は買ってあるから、帰ってプロポーズする」
瑞樹は呆れたように息を吐きだし、注文通りの花束を手早く作っていく。
「そんなに大きくなくていい?」
「あぁ。形は結婚式とかであるような、丸いブーケみたいな感じ。それと瑞樹、メッセージカードくれ」
「場所わかるよね? 好きなの使っていいよ」
毅は昔から店に出入りしているため、どこになにがあるか把握している。彼は迷わずカードが保管されている奥の棚に向かい、カードを選らんだ。そしてそこにあったペンを手に取り、真剣に字を書き出す。
最初のコメントを投稿しよう!