花に想いをのせて

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 そんな親友の姿を横目に、瑞樹は手早くピンクと赤のチューリップでブーケを作っていく。 「ところで毅。プロポーズだけど、記念日と合わせたりしないの? 付き合った日とか。同棲始めた日とか」 「今日だ。今日が付き合って五年目の記念日」 「だったら、もっと前もって準備しなよ! ほら、書き終わったならカードちょうだい!」  瑞樹は毅から書き終えたカードを受け取り、花に埋もれないように、カードをセットする。 「これでよし。できたよ」 「すごいな! さすが瑞樹! ありがとな!」 「いいから早く帰りなよ。彼女さん、待ってるんじゃないの?」  花束を紙でくるんで毅に渡しながら、瑞樹は時間を気にする。 「大丈夫だ。あと十分後に帰ってこいって、連絡きた」 「あぁ、そう」 「終わったら、連絡するな!」  瑞樹に背を向けて歩き出そうとした毅は、ふと何かに気づいたように動きを止めた。それに瑞樹は首を傾げる。 「この花……」 「紫のアネモネだけど、それがどうしたの?」 「意味は?」 「『あなたを信じて待つ』だよ」 「そっか! ありがとな!」  何かに納得したように毅は笑って、意気揚々と店を後にした。
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