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「ちゃんと寝たよ。叔母さんは?」
「朝居たんだけど、どこか行っちゃって…。家にマスコミがいっぱい来てるでしょう?アキちゃんや春斗にも迷惑かけてるよね…」
「そんなことは気にしなくても大丈夫だよ。洸太は早く良くなることだけを考えていればいいよ」
しゅんとする洸太の頭を撫でながら、秋斗は優しく微笑んだ。
洸太がここにこうして生きていてくれる。
もうそれだけで十分だ。
「ハルも来たがってたから、近いうちに顔を出すと思うよ」
「うん」
髪に触れる秋斗の手は、相変わらず洸太を安心させた。
「アキちゃん……本当に色々ごめんね」
「どうして洸太が謝るの?俺の方こそ守るなんて格好良いこと言って、結局洸太に守ってもらって……ごめんな」
「こんな、面倒な僕に好かれて……ごめんね」
「洸太……。俺の方が面倒臭いと思うよ。高校生の頃に小学生に恋した変態だし…」
ふふっと秋斗が笑うと、洸太も一緒になって笑った。
あんな事件があったのに呑気だなと我ながら思うが、秋斗と一緒なら笑顔で居られるのだ。
「アキちゃん……ありがと」
「良くなったら、もう一度デートしような」
「うん。楽しみにしてるね…」
秋斗と洸太は暫く会話を楽しみ、少し洸太が疲れた顔を見せたところで秋斗は洸太の病室を後にした。
思ったよりも元気そうな洸太に安心しながら病院を出たところで、タクシーから降りてきた恵美子に出会う。
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