第6話

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そうだ……。 今朝、お父さんが初めてお弁当を作って持たせてくれたんだった。 お弁当の包みを開けて中を見る。 色とりどりのおかずがお弁当箱の中に綺麗に詰められていた。 作るのはきっと手間だったろう。 朝から自分のために、こんなに手の込んだ弁当を作ってくれたのだと思うと、なんだかまた涙が溢れる。 「どうして急にこんなに優しくするんだよ………。今までみたいに奴隷みたいに扱って、嫌いでいさせてよ……」 自分のために変わろうとする父親のことを、今はそれほど憎むことができない。 それがかえって辛かった。 身も心も宗佑を受け入れてしまったら、自分はもう何処に行けばいいのだろう。 一生……鳥籠で飼われる鳥のようにあの家と宗佑に閉じ込められて暮らすのだろうか。 「そんなの………嫌だ」 好きな人と一緒に過ごしたい。 行きたいところだって沢山あるし、もっと色んな人に出会って色んな経験をしたい。 だが、宗佑はきっとそれを許さないだろう。 考えても出口はない。 きっと自分はこのままなのだ。 宗佑に支配されて、ゆっくりと狂っていくのだろう。 宗佑が仕事を終えて再び病院に戻った時、洸太はベッドの上で小さく丸まって眠っていた。 寝顔を見ようとして、目の周りが真っ赤に腫れていることに気付く。
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