第6話

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何だこれは。 昼間にここで会った時は笑っていたではないか。 自分が不在の間に、こんなに目が腫れるほど泣くようなことがあったのか。 状況が飲み込めず宗佑はその場に立ち尽くした。 洸太を起こして何があったのか問いただした方が良いのか。それとも、泣いたことに気付かない振りをした方が良いのか。 人との関わりが上手ではない宗佑には正解が分からない。 そのまま黙って洸太を見下ろしていると、気配に気付いたのか洸太が腫れて重そうな瞼を開けた。 「………お父さん……」 「仕事が終わった。今日は俺もここに泊まる」 「えっ……。お父さんも、泊まるの?でも……ここ、病院だから……」 「心配しなくても、こんなところで抱いたりしない」 病院なんて、定期的に巡視もあるだろうし…こんなところで事に及んだら大騒ぎになってしまうことくらいは宗佑にも十分に分かっている。 だが、そのくらい洸太には信用がないのだろう。今まで所構わず抱いてきたのだ。 「お父さん、あの、ごめんなさい。お弁当せっかく作ってくれたのに……さっき少しだけ食べたんだけど食欲がなくて…」 「ああ……それはいい。無理して食べなくてもいい。弁当くらいまた作ってやる」 宗佑がそう言うと、洸太は「ありがとう…」と小さく呟いた。
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