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「夜寝ると……こうなるから、あまり眠れない。お前を抱いた後はぐっすり眠れるんだがな……」
「もしかして……それで毎晩僕のことを抱くの…?」
宗佑が小さく頷く。
洸太は吃驚して言葉を失った。
「ね、眠れないなら薬とか飲めばいいんじゃないの?」
「睡眠薬を飲むと余計に悪夢が酷くなる。思い出したくないことをどんどん思い出して……気が狂いそうになる」
初めて宗佑が自分の弱い部分を洸太に晒している。
悪夢にうなされたくない。
だから息子を抱く……洸太にとっては理不尽な理由だ。
「どんな…………悪夢なの?」
「お前はその悪夢を知っているだろう?」
僕の知る悪夢?
それは一つしかない。
血の繋がった父親に毎晩犯されていることだ………。
「俺は……子供の頃から家を出るまで、父親と姉にずっと性的に虐待をされていた」
「え……?おじいちゃんと…叔母さんに?」
何故洸太にこんな話をしているのだろう。
今まで誰にも話したことがないのに。
驚いた顔をする洸太は、あの頃の俺だ。
いや、あの頃の俺の方が………もっと悲惨な状況だったに違いない。
「夜寝るとそれが始まるから……俺は眠るのが嫌いだった。あいつらは……毎晩俺をいたぶって……笑いながら……」
宗佑が頭を抱える。
口に出して昔のことを話そうとすると、当時の記憶が鮮明に蘇り、息が苦しくなる。
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