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こんなに弱っているお父さんは初めてだ。
お父さんは自分がされていたことを僕にしている……。
絶対にその行為を憎んでいた筈なのに。
「何故、自分がされたのと同じことをするのかといった顔だな……」
「……うん。僕も……僕だって、実の父親に抱かれるのなんて辛いんだ……」
今のお父さんになら言える。
お父さんとセックスするのが辛いと。
僕はあの行為は望んでいない。
「辛いか……そうだろうな。だが…俺には止められない。お前が居ないと、俺は……」
「お父さん……」
宗佑は苦しそうに胸を押えた。
過去の記憶が宗佑を責め上げて、呼吸さえも止められてしまいそうな感覚に陥る。
洸太は苦しむ宗佑のベッドに移動して、宗佑の体をしっかりと抱き締めた。
「お父さん、ゆっくり息を吸って……吐いて……大丈夫だから。思い出さなくていいから、今は息をすることに集中して…」
宗佑を抱き締めながら背中をゆっくりと撫でてあげると、宗佑の荒くなった呼吸は徐々に落ち着きを見せ始めた。
「………落ち着いてきたから、大丈夫だ」
「お父さんも……ずっと秘密を抱えてるんだね…」
「ああ。綾音にも話したことがなかったのに、何故お前に話してしまったんだろうな……」
いつもの高圧的で冷たい宗佑は見る影もなく、洸太におとなしく抱き締められる宗佑は弱々しい。
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