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「俺を……憎んでいるだろう。俺はお前に相当酷いことをしてきた。そして……これからもそれは止められない」
「他に解決策はないのかな。その……セックス以外で安心して眠れる方法が」
「あればいいが……」
「とりあえず、僕が今抱き締めて少し落ち着いたみたいだから、今日は一緒に横になって寝てみよう?」
洸太はそう提案すると、宗佑の肩を抱いてゆっくりとベッドに体を倒した。
そのまま寄り添うように横になると、宗佑の手をぎゅっと握る。
「お父さんが眠るまで、こうして手を握っておくから…」
「手を繋いだくらいで眠れるなら苦労しない」
「とりあえず試してみようよ。親子でセックスするより、もっといい方法があるはずだよ」
宗佑は納得いかない様子だったが、それ以上反論せず洸太と手を繋いだまま目を閉じた。
少しひんやりとしたその手を握りながら、洸太の気持ちは複雑だった。
加害者と被害者、自分と父親の関係はそうであると思っていたのに……。
実際そうなのだが、父親の抱えるものがあまりにも大きく、自分の状況と重ね合わせると単純に憎むことも出来ない。
叔母さんが、お父さんに酷いことをしたと言っていたけど………。
宗佑は実の父親と姉に犯されるなど、とんでもない地獄を味わって生きてきたのだ。
そして未だに悪夢にうなされている。
あまりにも哀れだ。
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