第6話

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お父さんも可哀想な人なんだな……。 僕に酷いことをした正当な理由にはならないだろうけど、あんな話を聞いたら憎めないじゃないか………。 悶々と考えていると、宗佑かれすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。 そっと宗佑の顔を見れば、穏やかな顔をして眠っている。 眠れたんだ……。 手を繋いで寄り添うだけでも宗佑が眠れたことが嬉しい。 これで眠れるなら、もう体を好きにされることが無くなるのかもしれない……。 そうだったらいいな。 添い寝くらいなら……嫌じゃない。 宗佑が眠って安心した洸太は自分の目も閉じた。 お父さんに抱かれなくなったら……僕にも恋する資格はできるんだろうか。 アキちゃんと両思いだったなんて……諦めるの、やっぱり嫌だな…。 そんなことを考えて、洸太は慌てて自分の考えを打ち消した。 もし、父親とのことを隠して秋斗と付き合っても……いざ結ばれる時に自分が初めてではないと絶対にバレてしまうだろう。 父親に長年にわたり散々抱かれてきた体を、秋斗に見せるわけにはいかないではないか。 アキちゃんのことは、諦めよう。 朝会うのも……時間をずらして会わないようにしよう。 それがアキちゃんのためだ。 アキちゃんみたいな素敵な人が、僕なんかに関わったら駄目だ。 せっかくの両思いを諦めるしかないのは悲しかった。 けれど……洸太には他に選択肢がない。
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