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退院して家に戻った洸太は、特にすることもなく久しぶりに家でぼんやりとテレビを見ていた。
家に居る時にテレビを見るなど久しぶりだ。
ワイドショーを見ても、知らない芸能人が知らない話をしていて、何が面白いのかさっぱり分からない。
しかし、あるコメンテーターのアップが映し出されて洸太の目は奪われた。
「お父さんだ………」
画面の中では宗佑が、司会者からの教育問題についての質問に答えていた。
お父さん、本当にテレビに出てるや。
しかもなんだか格好良い……。
人気があるというのも本当なんだな。
こんな………世間的には素敵に見える人が息子に執着して依存して……犯してるなんて誰が思うだろう。
洸太はふるふると首を振ってから、リモコンを操作してテレビを消した。
せっかく父親から離れているこの時間に、わざわざテレビで顔を見なくてもいいじゃないか。
「夕方まで暇だな………」
家の周りを散歩するくらいならいいだろうと、洸太は靴を履いて外に出た。
家に居るとぐるぐると色んな考えが浮かんでしまい、憂鬱になってしまう。
外は曇っており雨が降るかなと思ったが、すぐに帰るつもりなので荷物になる傘は持たずに出掛けることにした。
こんなに元気なんだから学校行けたのにな。
久しぶりに……昔春斗とよく遊んだ公園にでも行ってみるかな。
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