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僕のやることはいつもこうだ。
この前叔母の家の近所で迷子になった時もそう。
思いつきで行動すれば、大概こうして痛い目に遭う。
びしょ濡れになりながら、洸太は自分の運の悪さと思慮の浅さを恨んだ。
あと少しで家に着くというところで、洸太を呼ぶ声がした。
「洸太!そんなずぶ濡れになってどうしたの?」
「アキちゃん………」
後ろから秋斗の車が近付いていたなど気付いていなかったので、突然名前を呼ばれて洸太は驚いた。
「散歩してたら雨が降ってきちゃって…。アキちゃんこそ仕事終わるの早くない?」
「今日は出張で直帰だったんだよ。ほら、乗って」
「アキちゃんの車が濡れちゃうから……」
車に乗るよう促されたが、こんなにびしょ濡れの状態ではシートを汚してしまう。
洸太が尻込みしていると、運転席から秋斗が降りてきて強引に洸太を助手席に押し込んだ。
「車なんて濡れたっていいよ。洸太は風邪を引きやすいんだから、すぐ帰って温まらないと………」
僕は昨日アキちゃんの告白を断ったのに。
アキちゃんは相変わらず僕に優しい。
「アキちゃん……ごめんね」
「車のこと?そんなの気にしないで」
車のことだけじゃない。
告白のことも。
ずっと嘘ついてることも。
「本当に、ごめんなさい」
「とりあえず家においで。風呂はいってる間に温かいもの用意するから。話したいこともあるし………」
話したいことって何だろう?
洸太は小さく頷いた。
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