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「綺麗なままじゃないって………」
「男の人に、されたことが、あるの。一回だけとかじゃなくて、何回も……何回も……」
涙と一緒に言葉はもう止まらなかった。
こんなことを言えば嫌われると分かっている。
でも、何も知らない振りをして狡く立ち回るなど洸太にはできない。
秋斗を騙して付き合おうなどとは思えなかった。
「誰に……誰にやられたんだ……。洸太が望んでそんなことをした訳じゃないんだろう?」
「相手は言えない…。望んでなんかなかったよ。嫌で……嫌で仕方なかったけど……。無理矢理……」
肩を震わせて泣きじゃくる洸太を秋斗はぎゅっと抱き締めた。
洸太が何か抱えているような気はしていたが……そんなことがあったなど知らなかった。
だって洸太はいつも笑っていたではないか。
「俺の……知ってる奴か?」
「言えない……。言いたくない。聞かないで…」
相手の男が誰なのか、洸太から聞き出すのは無理のようだ。
洸太の父親はこの件を知っているのだろうか。
「僕、きたないから、アキちゃんに、好きって言われる、資格ない…」
洸太が号泣しながら、切れ切れに発する言葉が痛々しい。
自分のことを汚いなどと思って洸太が生きてきたなど、全然知らなかった。隣に住んでずっと洸太のことを見てきたのに……。
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