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洸太が自由になるには…………やはり一度、きちんと父親と向き合わないといけない。
現在、洸太の父親は洸太のことも認識出来ていない状態だと聞いており、洸太も刺された日以来父親には会っていない。
なので、洸太の中で父親は自分を束縛する恐ろしい存在のままなのだろう。
叔母さんに連絡をとってみて、洸太を一度父親に会わせないといけないな……。
父親はもう驚異ではないと。
これからの人生は、洸太自身のものであると、父親に対峙することで洸太が自由になれるのではないか。
洸太を抱き締めながら、秋斗は考える。
幸せにしてあげたいのだ。
そして、一緒に幸せになりたい。
そのために自分のできることは………。
「アキちゃん、今日は一緒に寝てもいい?」
「……いいよ」
「ありがと」
洸太はきゅっと秋斗の背中に回した手に力を入れた。
秋斗の確かな温もりを感じると、心の底から安心出来る。
別れ話じゃなくて良かった。
秋斗が居なくなったら、どうしたらいいのか分からない。
こんなにちゃんと愛されているのに……。
アキちゃんの気持ちが変わることが不安だなんて……。
だって、アキちゃんほど素敵な人にはもっと素敵な釣り合う相手が居るはずだもの。
でも……アキちゃんを誰にも渡したくない。
体を繋げて、自分の中に秋斗に愛されているという確かな証が欲しい……。
だが、約束したのだ。卒業までは我慢だ。
早く……大人になりたい。
大人になれば、秋斗と体を重ねることもできるし、働いて経済的に自立もできる。
秋斗に守られてばかりでなく、秋斗を支えられるような……秋斗に相応しい人間になりたい。
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