1024人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
「…………ショックだった?親父さんが洸太のこと覚えてなくて………」
「ううん。覚えてなくて良かったと思う。お父さんも僕も………お互いにやっと自由になれたんだよ」
帰りの車の中で、洸太はそう言うとにっこりと笑った。
自分達親子にとって、この結末がおそらく最善のものだったのだ。
あのままでは、お互いが鎖に繋がれたまま僕にもお父さんにも未来がなかった。
「洸太……。洸太には俺が居るから」
「うん。アキちゃん、ありがとう。今日、会いに行って良かった。吹っ切れたよ」
父親とのことを吹っ切った洸太は、心からの笑顔を見せた。
これで、前を向いて歩いて行ける。
父親とのことは過去のことだ。
父親が自分とのことをリセットして完全に忘れているのに、自分だけがいつまでも引き摺るなんておかしい。
過去は変えられないけれど、これからは秋斗と幸せに生きていきたいと洸太は思った。
「アキちゃん、これからも……ずっと僕と一緒に居てください」
「うん。ずっと一緒に居ようね。一緒に幸せになろう」
もう迷わない。
僕はアキちゃんと幸せになるんだ。
お母さん、見守っててね………。
秋斗の運転する車は家に向かう。
洸太の家は秋斗の家だ。
これからもずっと、僕はアキちゃんの家に帰るんだ……。
最初のコメントを投稿しよう!