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第1話
どんな人にも秘密はあると思う。
秘密と嘘。
普通に生活しながらも、皆秘密を抱えて生きている。
それがどんな秘密なのか……。
それは人それぞれだろう。
僕にだって秘密がある。
誰にも言えない秘密が。
この秘密を知られたくない。
特に……大好きなあの人には。
だから僕は……嘘をつく。
「洸太、お誕生日おめでとう」
僕の17歳の誕生日の朝、出勤前のアキちゃんがプレゼントを渡してくれた。
隣の家に住むアキちゃんこと深澤秋斗は、10歳年上のお兄さんで……僕が昔から大好きな人だ。
「アキちゃん、ありがとう」
僕が笑顔でお礼を言うと、アキちゃんはふわりと笑って僕の頭を撫でてくれた。
赤ちゃんの頃から僕のことを知っているから、アキちゃんはいつまでも僕のことを小さな子供みたいに思っているようだ。
子供は扱いは悔しいけど、アキちゃんに頭を撫でられるのは大好き。
「開けてみて」
「うん。あ!これ……アキちゃんのとお揃い?」
包みを開けると、箱の中にはシルバーの大人っぽいネックレスが入っていた。
「洸太、これ気に入ってたみたいだったから。俺とお揃いじゃ恥ずかしいかな?」
「ううん。アキちゃんとお揃いのアクセサリーなんて、すごく嬉しい。ありがとう!」
僕がそう言うと、アキちゃんも嬉しそうに笑ってくれた。
知的でクールなイメージのアキちゃんが、こんな風に優しく笑うのを知っている人は少ないと思う。
完璧に整った顔と佇まいから近寄り難い雰囲気のアキちゃんは、昔から僕にはとても優しい。
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