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未来の能力
校長、栗花落・華宝〔つゆり・かほ〕は生徒の前に現れることがほとんど無く、校長の顔を知らないまま卒業する生徒ばかりで、数少ない生徒しか校長に会えない。そんな校長は70年近くこの高校に居るらしい。
「華宝さん、未来です」
「どうぞ」
若い女性の声、声からして70年も校長をしているだなんて思えない。そして、校長室に入るとさらに目を疑った。
「お友達が連れてきてくれたのね、どうしたの?」
優しそうな女性が立っていた、キラキラ輝ウェーブがかった腰くらいまである長い銀髪、マリンブルーの瞳に白い肌、青を基調としたマキシワンピース、白いジャケット、どうみても颯たちと同じくらいの歳にしか見えない。
「華宝さん、私、カラーコンタクトを、落として、それで、目の色が」
未来はなきながら必死に状況を伝える。
「そう、能無でないことがばれてしまったのね」
少しの間沈黙が続く、ずっと校長は未来の背中を撫でていた。
「弥生・颯君よね?」
「はい!」
「未来話していい?」
未来が頷いたのを確認すると校長は話し出した
「未来の能力は、タイムスリップなの、しかし、この能力は未来に行くだけ、過去には戻れない、未来は小さい頃それを知らずに能力を使い、帰れなくなったの」
颯は黙って話を聞き続ける
「過去へは戻れない、でもタイムスリップという能力名を聞いて勝手に時空を行き来でくきると思った者達は、彼女の能力を使って、歴史を変えようと考える、そんなやからから逃げるたび追い詰められては未来へ飛ぶ、未来はそうして逃げ続けてきた」
「それじゃあ、未来の家族は・・・」
「もうとっくに亡くなっている」
「どうやって高校に」
「私が入れるようにしたの、未来が居なくなるたびに、転校したことにして、また現れたら入学させる、70年近く繰り返しているの、彼女が小学生の頃からね」
こんな若い教師が70年間なんて、すこし失礼にも思えたが思い切って質問する。
「校長はとてもお若く見えるのですが」
「それはね私の能力なのよ、私は老いることも、死ぬことも許されない、永遠に生き続ける不老不死の能力、だからこそ、長い時空を旅する彼女を知っている」
ずっとなき続けていた未来がようやく落ち着き立ち上がる
「華宝さん私能力使います」
「過去世、何を?!」
「弥生、短い間だけど楽しかった、ありがとう」
「待って!」
颯はとっさに未来の両手をつかむ
「過去世、俺小学生の頃お前に会ってるんだよ、図書館で」
「?!」
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