はじまり

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はじまり

 この世界では特殊な能力を持った人間が生まれる、その特殊能力の発現には個人差があり、中には発動条件といって、条件を満たさなければ開花しないものもいる、そんな世界での複雑な物語 初恋は小学生のとき、成績の悪かった俺は夏休み親に図書館に行けと言われ、いやいやながら通った、正直こっそり別の場所へ行きたかったが、携帯にGPSを付けられて不可能だった、せっかくの夏休なのに、小学生の俺にとって苦痛でしかない、はずっだた  ソファーで昼寝でもしようと館内を歩いていると、誰かにぶつかってしまった。 「ごめんなさい、怪我無い?」  音色を奏でるような声、ぶつかった女性は手を差し伸べてくれた、白いセーラー服に身を包んだとんでもない美人だ 「大丈夫です・・・」  女性は笑ってその場を後にした、マセガキと言われるかもしれないが、これが初恋だった。  彼女は腰まである少しウェーブがかかっている透き通るような金髪、琥珀の瞳をしていて、傷一つ無い綺麗な白い手で本のページをめくっていく。  本の内容はとても難しい、外国の本だったり、哲学にまつわる本、到底当時の俺には理解できなかった。  夏休明け彼女は図書館に来なくなった、しかし、夏休友達と遊ぶこともなく、毎日図書館に通っていた俺は彼女がいつも着ている制服のデザインを完璧に覚えていた、調べるとそれは、国立特優高校〔こくりつとくゆうこうこう〕と言う、世界でも指折りの難関校だった、あんなに美人で頭もいい、才色兼備とはこういうことなのだなと納得した、俺はあの人と同じ高校に通いたくて、必死に勉強した、成績が悪かった俺も学年トップになり、身体も鍛え、中学に入る頃には自分で言うのもなんだがなんでもこなすモテ男になっていた、彼女と同じ時期に特優高校に居られないことには途中で気付いたが、ここまで努力したのだから、なんとしてでも合格してやりたい。  受験発表、手応えはあったしやれることは全部やった、俺は受かっている自信が有った。そして 「受かった・・・!」  俺は受験者のなかで二番目の成績を残し合格していたのだ。 「首席とかどんだけ頭良いんだよ」  そんなことを思いながらも俺、弥生・颯〔やよい・はやて〕は入学の日を待った。    
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