最低な義妹

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「アンタ今何やってんの?」 「・・・出版関係の仕事。栞は?」 「見りゃ分かんでしょ。ガールズバーの店員。」 「・・・大学 行かなかったの?」 「アンタが出ていった翌日に逃走してやったよ。アイツのコネなんて使ったら一生奴隷決定だし、破局させてアイツの顔にも泥塗りたかったし。」 「・・・でも本当は行きたかったんじゃ・・・」 「はぁ?ないない!!好きでもないこと勉強するとかマジで時間と金の無駄だから。酒作っておっちゃんのノロケ話聞いてやってるほうがよっぽどいい。」 かつて母だった女は今どこで何をしているのか・・・聞いたところで互いに知らないことは分かっていた。 「・・・アンタ嫌いでしょ?アイツのこともウチのことも。」 不意に栞が呟いた。 返答に困りながら言葉を探していく。 「初めは・・・嫌いだった・・・だけど今は大丈」 「ダメだよ嫌いになんなきゃ。」 もう既に火が消えたタバコを名残惜しそうに咥え直しながら、栞は声を遮った。 どこを見ているかは分からないが、ずっと遠くを見つめながら話す。 「嫌いになってもらいたいから ずっと横取ってきたんじゃない。私の苦労水に流さないでよ。」 「・・・」 「・・・あのね」 腑に落ちないような不満なような感情が顔に出てしまっていたのか 栞は眉を潜める。 「アンタはウチらなんかと一緒にいちゃいけないの。ウチはウチの世界で アンタはアンタの世界で生きなくちゃ 人生棒に振ったもんだよ。それに アンタにはちゃんと恩返ししなきゃいけない奴がいるでしょ?」 「えっ?」 「アンタの父親、アイツには勿体ないぐらいイイ男だよ。単身赴任中ずっとアンタを気にかけてた。文面だけでも悪い奴じゃないって分かったよ・・・ウチらの分まで愛してやんな。」 見せつけるように苦い煙を吹きかけてくる。 ずっと栞に奪われてきたと思っていた。あの女と一緒に ずっと栞を憎んでた。 本当は・・・私が栞の自由を奪ってしまっていたのだ。 ギュッ  と、ショルダーバッグの紐が握りしめられる。
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