【短編】A night in a puzzle

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 とにかく会いたいと思った。近付きたいと思った。恋をしてしまったことはわかっていたけど、それを成就させるにはもっと長い時間が必要だと思っていた。実力をつけて自信が持てる男になって、一歩でも二歩でも、彼に近付いてからだと。  だから、何の覚悟もしていなくて。 「…いいんですか?」 「何が」 「彼氏に悪いじゃないですか」  彼は俺の顔を見て、軽く口付けた。 「野暮だなぁ。今それ言う?」 「でも」 「どうせわかんないよ」  小さな声で、ぶっきらぼうにそう呟く。  俺が彼の恋人なら、彼のこんな行動を見抜けるだろうか。  それを考えるには、俺はまだ彼のことを知らな過ぎる。 「もうやっちゃったんだし。すっごい気持ち良かったよ?」  彼はにんまりと笑い、俺の足の間に手を伸ばす。つかまれた俺は、どうすることも出来なくて彼から目をそらす。 「もう一回、イケるよね」 「それは…」  わからない。けれど、つかまれたそこは、じわじわと熱を持ち始める。 「ほら」  悪戯っぽくにっこりと笑う、彼の表情には何の影もない。 「イケそうだね。しよ」  彼は空いている手を俺の後頭部にまわし、もう一度キスをする。 「まだゴムあるし!」 「いやでもだからって」
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