2.お早い再開でして

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「家まで送る。どっち」 「え、右…ってそうじゃなくていいってば!!」 うっかり答えてしまったが最後。 無表情のままの谷崎くんに手を引かれて家までの道を進んだ。 …ていうか会いたかったって何?!不審者行動してたのをネタに何か揺する気とか?!!! それは勘弁してほしい。イベントに向けて今お金がないんです…!! どうしようと考えている間も歩みは進み。気づけばすぐそこに家が見える。 家といってもアパートで、大学進学を機に一人暮らしを謳歌しているのだ。 「あ、もう着くから…」 「そう。」 何だかんだ言って結局ここまで送ってもらってしまった。 ジトっと、谷崎くんを見ると一切表情の動いていないイケメンフェイスがあるだけで。 本気で何考えてるのかわからない…。 「送ってくれてありがとうございました。」 不可抗力とはいえ、わざわざ送ってもらったことに変わりはない。 御礼を口にすると少しだけ、谷崎くんの瞳が揺れた気がした。 …??気のせい? 「えーっと…。離してもらえます?」 「…変なの」 「は?」 変?何が?というかどこが??! 思わず眉間にしわが寄って、そのまま谷崎くんと目が合う。 「しわすごい」 「っ…!」 眉間を人差し指でグリグリと押されて、痛いと抗議しようとして固まる。 待て。いや、待って、マジで何ですかその笑顔は…?!! 先程までの無表情はどこにおいてきたのか、ふにゃっと笑うイケメンフェイスはもう二次元。 め、めっちゃ春樹くん(旬ジャンルの推しキャラ)に似てる!!!!怖い!! 「何?」 「…や、べつに……」 推しの面影と重なってガン見していると、その視線に気付いてかスンッと元の無表情に戻ってしまった。 あっ…推しがいなくなった……かなしい……。 「あのさ」 「はい?」 「明日もいる?」 「…はい??」 何?どこに?? 「大学。いるの」 「そりゃあ、授業あるし」 「わかった」 わかったって…まさか…? 「明日も、来る気?」 そう聞くと、うん。と首を縦に振る谷崎くん。 ってちょっと待て!!!! じゃ。と立ち去ろうとする谷崎くんの服の裾を掴んで止める。
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