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3.進展がありそうでして
「……と、いうことがございまして…。」
「へぇー。イケメン引っ掛けるとか、やるねぇ唯。」
「違う引っ掛けてない違うぅ…!!」
翌日の放課後。
先日のお礼も兼ねて、美由紀とご飯に出掛けている。
駅前に新しくできたカフェで二人、昨日の話をしていた。
「いいんじゃない?推しに似てるとか最高じゃない」
「笑ったとこだけだもん!!他は全部無表情!!」
「クール系ね。唯と足して2で割ったら丁度」
「良くないからね!!?」
もう!!と反抗するけど、美由紀はクスクス笑うだけ。
結局あの後、近づいてくる口を手で受け止めて、「君がいると目立つから嫌なの!!」と言い逃げして家に帰った。
今日もきたらどうしようかと内心めちゃくちゃ不安だったけれど、流石に今日は来なかったのでほっとした。
注文したアイスティーにガムシロップを入れて一口飲む。
「で、何?付き合うとか?」
「んぐッ…!!」
美由紀からの爆弾投下にアイスティーを吹き出しそうになった。
付き合うってなんでそうなる?!!
「何でそんな話になるの!!」
「だって、アンタに会いたくってわざわざ大学に来て?家まで送り届けてはい、さようなら。とはならないじゃない?」
「なりますー!私はもう関わらないつもりなんだから!!」
ほんとかなー。と笑う美由紀。
くっそその微笑みでいったい何人堕としてきたと思ってるんだ…!
ほらもう周りの視線が痛いよ!!!そんなところも好き!!!
「じゃ、そろそろ行こうか。布足りない分買い足したいし。」
「おけ!」
揃って店を出て、布屋さんへ。
商店街の中にあるので、夕暮れ過ぎのこの時間に人は多く賑わっていた。
話ながら歩いていると少し先のスポーツショップに薄っすら人だかりが。
あれは…凜ちゃんの所の学校のジャージ?
「美由紀、あれ」
「ん?…ああ。凜の後輩ね」
遠目に見て、何人か知っていると言う美由紀。
部活帰りかなぁ、青春っぽくていい。…ていうかこれはあれでは??私の推しの春樹くんもこういう生活を送っているのではなかろうか?!!
急なオタク思考に、脳内を妄想が駆け巡る。
「…春樹くんとの放課後デート。次の新刊決まった。」
「唯のそういうとこ、すごいと思うわよ」
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