22人が本棚に入れています
本棚に追加
おおう、褒められてしまった…!照れる!!
えへへーとニヤけていると、その人だかりから抜け出てきた男の子に目が行った。
「げっ!!!」
「あら。例の彼」
昨日の今日でまさか遭遇するとは思わないじゃん…!!
しかも何故か凜ちゃんが一緒にいる。
二人は親しそうに笑い、話し、買ったものを指さしながら話している。
ああやってみると普通の高校生だな…。
「で?彼らこっちに来るけどいいの?」
「何もよくないです逃げる!!!」
布屋さんに行くにはスポーツショップ前通過は不可避。
来た道戻るしかない!と判断し踵を返そうとして、まさかの凜ちゃんと目が合ってしまって。
パッと笑顔になる凜ちゃん。その笑顔一生推せる!!!!って違う!!
「唯ちゃーん!」
「ひえ。」
「流石我が弟ね」
いや関心してないでよ美由紀さん?!
ブンブンと手を振ってくる凜ちゃんを無視することはできず。あはは~…と笑って手を振り返すと当然こちらに気付く谷崎くん。
くっ…終わった…。いやでも今日は美由紀もいるし凜ちゃんもいるから大丈夫か…。
「唯ちゃんこの間ぶり!」
「こ、この間ぶり…!」
「アンタ、姉に対しては何もないわけ?」
姉貴とは家で会うだろー。と頬を膨らませる凜ちゃん。
クッソ可愛いな推しだこれはもう推す。
そんな中、ジッと注がれる痛い視線。その先はもちろん谷崎くんだ。
「凜、知り合いなのか」
「ああ。こっち姉貴。こっちは姉貴の友達の唯ちゃんな!」
「へぇ。」
…痛いです視線がやめてこっちガン見しないで。
目を合わせないのに精いっぱいな私に気付いたのか、美由紀が会話をつなぐ。
「こんにちは。凜のお友達?」
「この間の試合で仲良くなった!俺と同じ3年!」
「谷崎です。凜にはお世話になってます。」
こちらこそ。と会釈する美由紀。
お、お姉さま感強すぎる…!!これが大人の余裕か?!!(同い年)
「姉貴と唯ちゃん、これから帰るとこ?」
「布買ってからね。アンタも帰るの?帰るならこれ、スーパーで買って先帰って」
「げぇ。それ今朝母さんに姉貴が頼まれた奴じゃん…」
買い物メモらしきものを押し付け、押し返しをし始めてしまった二人。
そしてそれに目を向けることなく、何か言いたげにこちらを見つめてくる谷崎くん。なにこれ。
「り、凜ちゃんと仲いいんだね…」
「ああ。」
絞りだした会話が一言で終了。からの無表情。だから何この状況…!?
最初のコメントを投稿しよう!