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「あれは推しだわ…うん。」
商店街遭遇から数日。
今日も今日とて大学で勉学に励んでいる。
谷崎くんはというと、あの日以降は会っていない。
また大学に来るんじゃないかと思ったりもしたりなんかしていたけれど、
どうやら杞憂で終わったようで安心した。
「いや、あんた真顔で何言ってんのよ」
「だってあれは完ぺきにゲーム内スチルだった!!!!」
「現実見なさいよ。」
「痛っ!!」
ベシッとおでこに美由紀からの強烈な一撃(チョップ)を食らう。
授業間に時間が空いたので休憩がてら図書室で授業向けの資料を読み漁っていた。
思わず上がった声に周りからの痛い視線が注がれて、体と声が縮こまる。
「ほんとにあれはもう二次元だったよ…?美由紀の推しだったら絶対SSRだしガチャ出るまで回してるって…」
「推しが出るまで回すのは定石。それより二次元に変換するのあんたの頭の中を心配してんの」
「ええ、ひどい……」
まったく。と読んでいた本に目を向ける美由紀。
そんなにまずいかな…?確かに今までこんなに二次元と三次元を混在させたことはないけども…。
「谷崎くんだっけ?あの子も偉いわね」
「?何が?」
「気になってる子に手を出さないところとか」
「なっ?!!!!!」
何言ってんの?!!!!と大声を出しかけた時に再び周りからの視線が降り注ぎ、慌てて口を塞いだ。
いやいやいや、今のは美由紀のせい!!!
「なんでそうなるのっ」
「事実でしょう?」
っふ。と笑う美由紀。
谷崎くんと言い美由紀といい…!ちょっとは凜ちゃんを見習ってよ!!!
私に優しくして!!!!!!
ムムム、と美由紀を見ていると、テーブルに置いていた美由紀のスマホが揺れた。
何かしら、とスマホを見たと思ったら「ふぅん?」と呟いて今度はこちらを見てくる。
…な、何か企んでるときの顔してるんですが…
「凜からなんだけど、唯の連絡先教えていいかって」
「誰に…?」
「谷崎くんに」
…なっ?!!!
「だ、だめっ」
「って言うと思ったからもう教えた。後で多分連絡行くって。」
「ちょっと?!!!」
大きな声出さないの。と言って、ものすんごい笑顔の美由紀。
そこの男性陣、見とれてないでどっか行ってください。
じゃなくて本人の許可は?!人権は?!!
美由紀に抗議しようとした瞬間、今度は私のスマホが揺れてまさか…?と冷や汗が流れた。
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