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「唯ちゃん、唯ちゃん」
「ん?何?」
「あーんして?」
…ん?!!
「え、な、ん?!」
「唯ちゃんがあーんしてくれたら頑張れそう!」
くっ!!!眩い…!もう推してるけど推す!!!
にこにこ笑う凜ちゃんのあどけない笑顔には昔から弱い。
美由紀の弟とは言え、そこそこ長い付き合いで一人っ子の私にも弟ができた様な感じがするから。
しょうがないなー、なんて言って一切れ取り出す。
「はい、あーん」
「あー……ん!うま!!」
ああ、可愛いわ…こんないい子を弟にもつ美由紀が羨ましい…!
んへーっと笑う凜ちゃんに釣られて緩む私の頬。
周囲の視線の痛さはもうこの際無視よ、凜ちゃんが頑張る手伝いができるなら本望だ!!!
「凜。あんたそろそろ行きなさいよ」
「ん?あ、やべっ」
美由紀から声をかけられて、パッと離れる凜ちゃん。
ふと時計を見ると試合時間が近づいていた。
「んじゃ行ってきます!唯ちゃんありがとね!」
「いってらっしゃい!」
頑張ってねー!と手を振ると再びキラースマイルでこちらと周囲の女の子のハートを鷲掴んで去っていった。
「凜ちゃん相変わらず光属性すぎて私の目がやばかった…」
「唯には甘えるからね。ま、慣れて」
「結局全部慣れに持っていくじゃん…!?」
*
そうこうしている内に時間は進んで、ついに一試合目がスタート。
観客席が上だから俯瞰の写真になるけどゲーム展開も見逃せない、とカメラ片手に撮りつつ見つつ時間を過ごす。
「あっ」
見ていた試合の選手の中に谷崎くんを見つけた。
ベンチの方で来ていたTシャツを脱いでユニフォーム姿になっている。
試合出るのかな?出会った時の練習試合では見なかった気がするけど…。
試合が始まって数十分。点差が離れ始めると交代の合図とともに谷崎くんがコートに入った。
そしてそこからの怒涛の追い上げが始まった。
「すご…」
「かなり強いわね」
谷崎くんが入ってからあっという間に点差が縮まったと思ったら、そのままぐんぐん逆転していく。
試合終了時には20点差がついていた。
「…唯?写真撮ってたの?」
「あ!!!」
やばい、結構…というか終始谷崎くんを見てしまっていた…!!!
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