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そんな私に気付いたのか、にこぉっを笑う美由紀。
「へー?もう関わらないとか散々言ってたのに?気になってきちゃったとか??」
「うっ、うるさいですー!!!」
ううう、だって、あんなの見入っちゃうじゃん…!!
走る姿、ディフェンスする姿、綺麗なフォームからシュートを決める姿。どれをとっても何か悔しいけれど正直、かなりカッコいい。
見に来ている女の子たちも谷崎くんがシュートを決める度にかなり盛り上がっていた。
…アイドルかな?!
「資料のためだし…!!」
「あー、はいはい。そういうことにしておいてあげるわよ。」
「ぐぬぅ…!!!」
悪魔の微笑みしおって!!!!周りを見ろ!!みんな試合じゃなくて美由紀に釘付けじゃん!!!!
居たたまれなくなって思わず席を立つ。
「飲み物買ってくる!!」
「はいよー。凜の学校次だから、ちゃんと戻って来てよ?」
「もち!!」
今回は実は谷崎君からフロアマップを渡されている。
なので!!今日は迷わずに戻ってこれる!!
…そう思っていた時があったのだけれど。
「あれ…?ここさっきも来なかったっけ…??」
現在、完全なる迷子。
マップと壁に書いてあるフロアを照らし合わせながら歩いてきたはずなのに、また同じ場所に出てしまったのを2、3回繰り替えして気付いた。
私…方向音痴すぎる…!!!
時計を見ると凜ちゃんが出る2試合目まで数分しかない。
美由紀にメッセージを送るも、返信は来ずに時間がたってしまっている。
「うーーん…とりあえずもう一回、ちゃんと確認しながら行ってみるしか…」
立ち止まっていても結局時間は消費されてしまう。
よし、と再びフロアマップを手に一歩踏み出そうとした時、少し後ろの扉が開く音がして振り返る。
「あ。」
「…あ。」
そこに居たのはいつもの無表情な彼だった。
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