4.進展したようです

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「何してんの」 「あーー…えっと……」 まずい。フロアマップ貰っておきながら迷子とか恥ずかしいが過ぎる。 何か言い訳をと考え始めた時にはもう「迷子?」とド直球に指摘され、弁解できずにただ頷いた。 …うう、恥ずかしい…しかもよりによって響くんに見つかるとは…。 恥ずかしさに俯いていると、バスケットシューズが視界に入り込んできて、その次に近くから温かさを感じた。 「マップ、渡したよね?」 「うぐ…貰ったし持ってはいるんだけど……」 「方向音痴」 ぐっ…!!実感した後に人から改めて指摘されると心に刺さるものが…!! するりと伸びてきた手に、持っていたフロアマップを抜き取られて思わず顔を上げた。 汗に濡れた髪、肩口から伸びた普段はあまり見ない部分の筋肉質な腕、先程感じた熱は試合後の体温の高さだということに気付く。 …つまり春樹くんも試合後は体温が……!!!!!! 「聞いてる?」 「ひゃい?!!」 グッと、距離を縮めてきたイケメンフェイスが妄想に入りかけていた脳には刺激が強くて、思わず距離をとる。 やばい、危ない…!!美由紀ならまだしも谷崎くん前で妄想トリップしかけは油断してた! そんな私の反応に谷崎くんは、一瞬眉を潜めたと思ったら大股でとった距離を詰めてきた。 「?!」 「聞いてた?さっきの」 さ、さっき…? 「何だっけ…?」 「あんたが場所とったのどこって聞いたんだけど」 完全に聞いてなかった奴ですわ!!!! 少し不機嫌そうに見つめられ、冷や汗をかく。 「え、Aコート側の!!」 「Aコート…ここ?」 「あ、うん!えーと…この辺りの席だったかな」 フロアマップを見ながら確認する。 すると、「ここ通って、こっちは行かない。ここ行くと逆戻り」と説明してくれた。 そういうことかと頷きつつそっと表情を伺うと無表情に戻っていて、怒ってはいなさそうで心なしか安心。 いや、だってわざわざマップまで渡しておいて迷子とか失礼じゃん…?!!迷った側が言うことではないけれど!! 「なるほど…!!ありがとう!」 「ここまで方向音痴だと思ってなかった」 「ぐぬぅ…!!」 正論すぎて何も言い返せないし居たたまれない!! 「何回も言わなくていいでしょ!!もう行きます!道ありがと!!」 このままではまた方向音痴と言われそうだと思い、言われた方向に足を向ける。 それにもうすぐ2試合目が始まってしまうというのもあった。
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