4.進展したようです

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「唯先輩。」 「もー!なに、っきゃ!!」 まだ言う気か?!!と思って振り返ろうとした。 それと同時に腕を掴まれて引っ張られ、足がもつれる。 転ぶ…?!! 思わずギュッと目を瞑って衝撃に耐える。 …のだけれど衝撃はなく、あるのは背中から伝わってくる温かさとお腹に回った緩い締め付け。 「…?!」 「何」 「何って…は?!!」 なんで私、抱きしめられてるの?!!! 「ちょっと、離して!」 「やだ」 やだって何、子供か!! 抜け出そうとすると余計に締め付ける腕に力が入って抜け出せなくなる。 それでももがいていたら、最初は頭に乗っていた谷崎くんの頭がするすると降りてきて、肩に乗る。 ふう。と息をつかれたくすぐったさに思わず体が跳ねる。 「もっ、何…?!」 「充電」 「いや答えになってないから!」 はーなーせー!と暴れてみるも、スポーツマンの腕力にはかなわない。 「唯先輩、なんかいい匂いすんね」 「ひぁっ?!」 スリッと、谷崎くんの鼻先が首を撫でてきた。 おまけにそこですんすんと、匂いを嗅いでくる。 へ、変態だ…!!イケメンの皮を被った変態がいる!!!! 「なんか、甘いにおいする」 「甘い…?あ、はちみつ…?」 「そうかも」 凜ちゃんの差し入れ作ったし、それかも。と数刻前の凜ちゃんのキラースマイルを思い出してしまい、いや思い出しても眩しいな!!!と一瞬気が緩んだその時。 ――― じゅるっ 「ひゃうっ!!!?」
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