4.進展したようです

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「…ごめん、やりすぎた」 「う…。」 何だこれ。ほんとに何この醜態…。 一連のことを思い出して、瞼がじんわり熱くなって、あ。やばい。と思った時には涙が出ていた。 頭と心が追い付いてなくて、止めなきゃ、何で泣いてるんだろうと思っても何もできない。 「唯先輩?」とこちらを伺う声にも、何も返答ができない。 「…よいしょ、と」 そっと壁にもたれるように座らせられて、正面からまた熱に包まれる。 ぽんぽんと背中をなだめられ、誰のせいでこうなったと…!と悪態をつきたくなったけれど声が出せなかった。 「唯先輩」 「……なに」 「ごめんなさい」 「…ゆるしません」 先日同様謝れば済むと思ってんのか…!! んー。と気のない返事でぽんぽんとなだめる手は止めない。 ほんと、何なんだこの人…会った時から今の今まで、意味不明すぎる。 ぽろぽろと頬を伝う涙を服の袖で拭いつつ、鼻水が垂れてこないように鼻をすするのが精一杯。 「…ばか」 「唯先輩もばか」 「はぁ?!」 オウム返しに思わず顔を上げてしまう。 いや、だって!なんで私もバカ扱いされなきゃいけないのよ?!! 目線が合って、谷崎くんは無表情…なようで何か困ったような、悩んでいるような表情をしていた。 「忘れてる?」 「なにが」 「俺、唯先輩のこと好きって言ったじゃん」 「す…!??!?」 突然の告白に思わず動揺した。 な、まさか、この間の…?!!! 『唯先輩』 『?何』 『好きかも』 先日のキス事件の時のことがフラッシュバックする。 ていうかあの時は…!! 「好きかも、でしょ?!」 好きとは言い切って無かったよね?! いや、まぁ、言い切られても正直、どうしたらいいかなんてわからないけど…!! 谷崎くんは、んー?と首をかしげて見せて、思い出すように斜めに向けた視線を今一度こちらに戻してからはっきりと、 「今はもう好き」 と、言い放った。
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