22人が本棚に入れています
本棚に追加
アップ始めるからじゃあねー!と部員を引き連れて去っていった凜ちゃんに手を振り、美由紀と体育館探索に乗り出す。
「ほんと広いね」
「たまに公式戦の会場として使ってるらしいわよ」
「はえー…」
道なりに進みつつも資料集めは怠らない。
適宜写真に収めながら歩く。
「なんかいいね、この青春って感じ」
「唯の旬ジャンル的にもね」
「それね!!!」
しばらく歩いていると、美由紀のスマホが鳴った。
「ん、そろそろ戻ったほうが良さげ」
「そっか。じゃあ戻る?」
「うん。その前にトイレ行ってくるから、ちょっと待ってて」
絶対に、そこから動くな。と念押しされ、一旦別れた。
大学生にもなって迷子にならない…はずなのになぁ。
結構な剣幕で念を押されてしまったので、動かず待機を決め込む。
しんと静まったと思ったら、少し遠くの方でドリブル音とキュッキュッという音が聞こえてきた。
もしかして近くにコートがある…とか…?
今日の目的の資料集め。コートがあるならば写真を撮っておきたい…!!
大学と違って変な目で見られたとしても…今日限りだし、さっさと戻ればいけるのでは……?
という、邪な考えが脳裏を過る。
美由紀が戻ってきてからじゃすぐ試合会場行かないとだろうし…ええい、ままよ!
音のする方に駆け足で向かう。
しばらくして、扉が見えてきた。
中からは確かに音が聞こえてくる。
そっと扉を少し開けて中をのぞくと、ギブスを着た男の子数名が練習していた。
うわぁ、すごいなどんどんシュート決まってく…。
綺麗なフォームから放たれたボールが、リングにあたることなくきれいに入っていく。すごく綺麗に。
写真を撮ることを忘れて、思わず見とれてしまった。
……それが仇となることとは知らずに。
最初のコメントを投稿しよう!