1.出会いまして

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「なにしてんの?」 「っ!!!!???!??!?」 ぽん。と、後ろから肩を掴まれて体が跳ねる。 声にならない声と共に後ろを振り返ると、そこには長身のイケメン様が。 「ひぇっ」 身長は凜ちゃんと同じかそれよりも高いだろうか きれいな二重の瞳は少し気だるげにこちらを見ていて、 アッシュブラウンの髪は汗で少し濡れている。 二次元の人なのではないかと、本気で目を疑ってしまった。 さ、最近の高校生怖い…!! その人のTシャツに印字されているのは、今いる高校の名前。 ということは…ここの学校の生徒さん?!!! 慌てて扉を閉じ、身構える。 まずい。非常にまずい。これは完全に不審者扱いされてしまう…!! 「ご、ごご、ごめんなさい!決して怪しいものでは!!」 「…いや、充分怪しいけど」 そりゃあそうですよね!!!!! 「あ、えと、し!失礼しました!!!!!」 「え」 その人の横をすり抜けて全力ダッシュ! 後ろから静止の声が聞こえた気がしたけど止まるわけにはいかない。 少しして、電話が鳴っていることに気付き、わき道に入って電話をとる。 「もしも『唯?!あんた何処にいるの?!!』 きーーーん、と耳鳴りがして驚く。 電話の主は美由紀だった。 「ごご、ごめん!!写真撮りに行ってました!!」 『動くなって念押した意味!道分かる?もう試合始まるんだけど』 「うん!大丈夫!!すぐに戻ります!!!」 電話を切って、思わず逃げて来た方を確認する。 人影なし…。よし!逃げ切った! ほっと、胸を撫でおろして観客席に戻るべく歩き出した。 「ゆーーいーーーー????」 「ご、ごめんなさい…」 観客席で待ち構えるは、表情にこそ出ていないけれどかなり怒っている美由紀さまでして…。 トイレから戻ると私はおらず、とはいえ両親と凜ちゃんにビデオ撮影を任されていたらしくて試合を見に戻らなければならず…ということでかなり心配させてしまっていた。 「ほんと、ごめんね?」 「まったく…無事ならとりあえず良いよ。写真は撮れたの?」 「あ!それが……って、あれ?」 カメラが、ない…?
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