2.お早い再開でして

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2.お早い再開でして

「ううー…」 「とりあえず、学校側には連絡したから連絡待ちかな」 「うん……」 その後、カメラを探しに行くわけにもいかず、資料用の写真はスマホで撮影し、主催校さんにはカメラを紛失してしまった旨を伝え、見つかったら連絡してもらえるようになった。 なくしたタイミングって多分…いや確実に、あの逃走時だ。 見つかったとしても返してもらえるか…だって完全に不審者でしたし?!!撮った画像のほとんど館内の写真ですし?!!! 「だから、一人で行動しないように言ってたのよ。」 唯は大概何かやらかすんだから。と言われてしまいぐうの音も出ない。 「い、いつもって訳じゃ…」 「ほぼいつもでしょ」 「うぐぅ……。」 確かによく物を無くしたり、迷子になったりしなくもない、けど…! 「ほら、帰るよー」 「あい……。」 今日の試合は無事に終了した。 観客も選手も帰り支度をしている。 そういえば、あの時の声かけてきたイケメン様、試合にはいなかった気が…。 まあ、いいか。関係ないもんね。 そんなことよりカメラ…私の資料たち……。 「姉貴と唯ちゃん、今帰る?」 落ち込んでいると、凜ちゃんに声をかけられた。 「そう。あんたはこの後一回学校に戻るんでしょ?」 「おう。じゃあここでお別れか。唯ちゃん、また応援しに来て?」 ぐぅっ!!落ち込み切った心に染みわたるキラキラスマイル…!! そして心なしか後方の女の子たちからの視線が痛い!! 「もちろん!またね!」 バイバイ!と手を振って体育館を出た。 外はすっかり夕暮れで、他の保護者さんや応援に来た人たちもぞろぞろと出て行っている。 「ちょっと親に連絡だけ入れてくる。今度はそこ、絶対に動かないでよ?」 「はい……」 ジロリ、とこちらを見てから少し離れる美由紀。 ほんと今後はちゃんとせねば…。 今度こそ動かずに美由紀を待つ。 ふと、こちらに近づく足音が聞こえて、不意にそちらに視線を向けた。
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