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翌日、朝ギリギリに家を出た。
帰ってから夜中までぶっちぎりの作業に思わず寝過ごしてしまった。
「1限なくてほんと良かった…!!!」
学校に着くと丁度1限目が終わったところで、私は次の授業からだから間に合うことがわかり、ほっとした。
教室に向かうとすでに人が多く、急いで席を確保する。
「美由紀おはよ!」
「おはよ。髪ぼさぼさだけど大丈夫?」
「大丈夫…!あとおかげさまで締め切り間に合いそうです!!」
帰って参考にと撮った写真を見ながら頑張った甲斐もあって、今日文字とかの確認をすれば入稿できるまで進められた。
これも誘ってくれた美由紀のおかげだ…!!
「よかったじゃん」
「ほんとありがとうぅ!昨日のお礼、明日とかどう?!」
「いいね。あたしも今日は衣装作るし、明日また決めよっか」
「うんうん!!」
ああーー締め切りからの解放が見えてきたーーー!!
この瞬間は堪らなく嬉しい。描くことはもちろん好きだけど、脱稿の瞬間も良い。何より描き上げて世に出せることはとても嬉しい。
よし!今日の授業も乗り切りますか!!
「っだー…疲れた…」
「おつ。早く帰って作業しないと何じゃないの?」
「うぐ。そうです帰ります…!!」
流石冷静沈着な美由紀さまだ…。
口に出すと怒られそうなので、心にとどめて帰り支度をする。
すると何か、外が騒がしい。
こんな時間になんだろ…?
近くにあった窓から外をのぞき込んで、ぎょっとした。
数人の女子の群れ。
その中心にいるのはそう、あのイケメン様。
ってなんで?!何でいるの?!!兄弟がいるとか?!!!
思わず凝視していると、周囲をきょろきょろと見まわしてふと上を向いた奴と、目が合ってしまった、
それはもう、ばっちりと。
「げ。」
「あー、いた。」
いた?!いたって何?!!
窓から離れて急いでその場を離れる。
「唯?」
「ごめん美由紀!今日ちょっと寄るところがあって!!」
碌に説明もせずに急いで教室を出た。
明日謝っておかなきゃ…!!
しかし、ばっちり目が合って、いた。とまで言われたら間違いなく狙われている。例え思い違いでもいい。とにかく逃げる!!
彼(彼女ら)がいたのは正門側。となれば裏から出るに限る。
足早に裏門の方に繋がる出口に急ぐ。
外に出で、裏門へは一直線。うちの大学の構内図が分からないあの人はすぐ来れないはず…!!
そう思っていたのに
「はい、捕まえた。」
「え?っきゃ!!」
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