22人が本棚に入れています
本棚に追加
もう数歩で学校外、というところで後ろから掴まれた腕をぐんっ!と引かれて後ろに倒れそうになる。
…と、思ったらぽすんと背中に感じる熱と硬さ。
「なんで逃げんの」
後ろにいるのはそう、イケメン様。
顔こそは見えないけれど声とそのトーンで不機嫌なのが伝わってくる。
いやいやいや逃げるなって言われても普通逃げるよね?!!
「な、なにか、御用でしょうか…?」
「用がなかったらわざわざ来ないでしょ」
「でしょうね…」
走ったのか、後ろから聞こえる息と心音が早い。
そして……周りの視線がめちゃくちゃ痛い!!!!
そりゃあね?!!地味な女とイケメン(しかも高校の制服着用)が一緒に居ればね!!!!目立つでしょうよ!!!!
本気で一刻も早くここを離れなければ…!!
「あの、とりあえず一旦、手離してもらっていいですかね…?」
「無理」
はい????てか即答????
「なんで…」
「離したら逃げるでしょ?」
バレた…!!あわよくば逃げようとしていたのがあっさりと!!
「っと、とにかく!外に…」
「待ってよ谷崎くぅん!」
手を引っ込めようとした時に、彼の後方からパタパタと駆け寄ってくる女子たち。恐らくさっきまで彼を囲んでいた人たちだろう。
谷崎…?この人の名前…?
そういえば聞いていなかったな、なんて思っている場合じゃないな!!やっぱりこうなったな!!!
「なに?しつこい」
「えーそんなこと言わないでよぅ!大学案内してあげるから!」
「そうそう!急に走って行っちゃうんだもん!」
はぁ。とため息をつく谷崎くん(仮)。
ため息つきたいのはこっちなんですけど…?
というか、そこまで大学案内したいんならそっちで良いよね。うん。私は帰りたい。
グッと掴まれた腕を外そうとして引いてみるも、全く離してくれる気がないのか、強く掴まれたまま。
「何で逃げるの」
「逃げるとかじゃなくて…忙しいから帰りたいの!離して!」
全く納得いきません。と顔面に張り付けたかのような表情でこちらを見る谷崎くん。
そうこうしている内に、さっきの女子たちが近づいてきていて。
「え、誰?」
「もしかしてさっき探してるって言ってた人?」
「マジ…?」
最初のコメントを投稿しよう!