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「喜べ、劉輝よ。自宅軟禁の解除だ」
「おお、お代官様。本当でございますか!」
「殿が、お主の知恵を借りたいと仰せだ」
「殿が、私の知恵を?」
「そうじゃ。我が藩は先の大雨と台風で田畑が甚大な被害を受けておる」
「魚釣諸島作戦以外にも大きな影響を受けたということですね」
「そうじゃ。農家は大変なことになっておる。この危機を打開する策を、殿はお主に御所望されておる」
「ははあ~、誠にありがたきお言葉!」
「心して臨むがよい」
「ではまず、状況把握から行わねばなりませぬが?」
「農村地帯へ赴きたいということだな? 至急、馬等の手配を致そう」
「お代官様、誠にありがたきお言葉」
「なに、おぬしのためならお安い御用じゃ」
「その他には、何か?」
「特には……。そうじゃのお、強いて言えば、例の煮貝が、『大和魂』なる健康器具の悪徳商人の宴会に出席しておったとのこと」
「『大和魂』とは?」
「山内という商人が藩の幕僚たちに近づき、虎の威を借りて民を騙し多額の金を騙し取ったとのことじゃ。その中の一人に煮貝の名もあったとか。煮貝を囲む懇親会とかも開いておったようじゃ。ああ、野草も、あの方は有名人だ、と加辺などとの接触もあったようなことを洩らしておる」
「大事になれば、煮貝、いえ、須賀にも影響が?」
「なに、そこのところは上手く誤魔化せておる。単なる悪徳商法で話は済ませるよう根回ししてある」
「さすが、お代官様」
「ハハハ、おぬしのマネをしたまでじゃ。おぬしの配下の者はみな優秀じゃな。偽装工作はお手のものと見た」
「まだ、須賀の利用価値が量りかねるところではありますが、煮貝の言うことを聞く人物であれば、守っておいて損はございませんからね」
「さ、さっそく、我が藩の食糧危機問題を解決せよ!」
「御意!」
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