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「そろそろ、外へ出たかろう」
「そうですね、お代官様。何か外では変わったことはありましたか?」
「そうじゃのお、例の邪藩の藩主は須賀に決定したようじゃ」
「おお、それは。煮貝は役に立ちましたか?」
「早々に動いたようじゃ。森だか林だかそんな風な名の者と三人で寿司食って作戦を立てたようじゃ」
「して?」
「うむ。煮貝とやらは野草と仲が悪いようじゃな。野草は須賀の対抗馬である貴志陀を推そうと考えていたようじゃ」
「なるほど」
「しかし、肝心の貴志陀が野草の天敵である古河と会ったようで、すっかり野草は気分を害し、保曽田、武下と攣るんで須賀を推すことにしたようじゃ」
「ほう、そうきましたか。野草もただ折れない。まるで雑草ですね」
「経緯がどうあれ、これで邪藩も我が宙華藩の息がかかった藩に傾くじゃろう」
「対立していても仕方ありませんからね。両藩、手を結び、お互いの成長を目指せば問題はないかと? いっそ、我が宙華藩の支配下に入れば無駄な争いもなくなり、豊富な資源も分け与えようというもの」
「そうじゃな、頭を下げればいつでも支援してやる準備はある」
「そうはしないでしょうね。邪藩には我が藩を嫌う者も、近年増えておると聞きますからね」
「何が気に食わんのか、わからんな。遥か昔は、我が藩が様々な文化を教えてやったのも忘れ、自分一人で成長したかのような顔をしておる」
「親と子の関係に似ておりますね」
「ほほ、そうじゃの。親に歯向かう、息子か。さては、邪藩は反抗期か? ワハハ、そう思えば、可愛いものじゃのお、邪藩も」
「左様ですね」
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