後ろの理解者・ep.6

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「…徹底的に疲れた。私ちょっと休むわ。詩乃あなた、せいぜい除霊されないように気をつけてね。ふふ」 「冗談じゃないわよ!あのクソガキビッチに除霊されてたまるもんですか!てか紫音!あんた、あんな仲の良い後輩がいること隠してたわね!」 「ビッチとかあなたが言うの?私の中では存在しないに等しい娘で、仲が良いつもりもないから話さなかったのよ。ああもう面倒だわ、お休み詩乃!」 「ふんだ!ばか紫音!」  紫音は部屋に戻る。詩乃は口を尖らせて帰る。現生と遮断された自分の世界に戻ろうとした時、ふと、庭のテーブルセットに置いてある花図鑑に目がいった。さっき紫音が指差したハマユウとは、違うページが開かれていたからだ。  レンゲソウ。  詩乃は紫音からのメッセージであることを直感し、花言葉を見る。  「あなたの存在が私の苦しみを和らげる」 (紫音…ごめんね。つまんない嫉妬つまり無駄嫉妬なんかしちゃって。私もあなたが何より大切だよ…)  詩乃は霊魂だけどボロボロと涙を流しながら、念動力で別のページを開き、虚空に消えていった。  そのページはガザニア。花言葉は、ずっと詩乃が紫音に対して抱いている心そのものだ。 「あなたを誇りに思う」
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