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「ごめ…泣くなんて思って…なくて…」
「大丈夫、かわいい」
頬を流れる涙にキスを落として。
コツンっと額を当てる。
「…ゔー」
「なぜ唸る?」
「余裕なの…ムカつく」
イヤ、全然余裕じゃないけど。
内心舞い上がってるし、さっき頬をつねられたけど、まだ半分くらい夢なんじゃないかとも思っていて。
なんか、すっごい感情が混ざって、グルグルはしてる。
けど、一葉が泣いてくれるから。
「勝手に一葉が代わりに泣いてくれてるのかなって」
「代わりになんて泣いてない」
「そうだけど」
そこはそんな強気にならなくていいと思うんだが。
離れて指で涙を拭う。
「一葉、今日は泊まっていって」
「え、っと…」
「何もしない、離したくない」
「言ってること矛盾してる」
「誓って何もしないから。ただ今日はまだ一緒にいたいだけ」
俺の理性がどうとか、そんなこと押し込めるくらい嬉しすぎて、今はただ隣にいてくれるだけでいい。
ここのところ会えなかったことも相まって、いてくれることに幸せを感じる。
「ダメ?」
もう一度涙を拭って聞けば、小さく首を横に振る。
「ありがとう」
「そこでお礼言われるんだ」
「一葉には全て感謝しかないよ」
そう、全て。
一葉はわからずにキョトンとしてるけど。
わからなくていいんだよ。
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