189人が本棚に入れています
本棚に追加
はにかんだ笑顔の言葉に、思わず抱きしめた。
正直、期待はしてなくて。
「……ありがと」
「ずっと、想ってくれてて、こちらこそありがとう」
俺、今こんなに幸せで、この先大丈夫だろうか。
トントン拍子にウマく話がまとまるから、現実味を帯びなくてどこか夢心地。
だって、つきあえたことも結婚することも、全部妄想してきたこと。
起きたら夢だったとか、今日もあるのかな。
「夢じゃない?」
子供じみた質問に一葉はクスクスと笑う。
「夢であってほしいの?」
「イヤ、現実がいい」
少し離れた一葉に頬をつねられる。
痛い。
たぶん、現実だ。
「なぁ…一葉」
「ん?」
「中学の時、出会ってくれてありがとう」
「けど私、知らなかったのに」
「それでもいいんだよ、今こうしていられるのはあの頃があったからだと思うから」
手を握り思う。
この手を一生離さない。
「…愛してるよ、一葉の全てを全部」
ポタっと落ちた雫。
顔を上げれば、涙を流していて。
だけど、笑っている。
「一葉?」
「…うぅん、実感が湧いてきただけ」
「そっか」
もう一度抱き寄せ、背中を撫でる。
かわいくて、かわいすぎて、大事にしたい。
今は、こうしているだけで…
最初のコメントを投稿しよう!