第1話 欲望のままに

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(くだん)の友達宣言から、早くもひと月が経とうとしている。なのに、相も変わらず木暮梛音は、終始俺に付きまとっていた。 俺に興味を持つような変わり者なので、もしや周りから嫌煙されているのやもと思ったが、なんの事はなかった。梛音は人当たりもいいし、顔もすこぶる整っているしで、男女問わず人気者である。 奴が俺にこだわる理由がさっぱり分からない。 初めこそ動揺してしまい、アイツのペースに巻き込まれてしまった俺だったが、もう今更、面倒臭い人間関係など作る気は毛頭なかった。 だからこれまで梛音から食事に誘われても、遊びに誘われても、飲みに誘われても全て、「嫌だ」の一言で断ってきた。 だが奴はちっとも諦めてくれない。 「お前は馬鹿かっ?」と怒鳴りたくなる衝動を、必死で抑え込むのが、近頃の俺の日課だ。 そんなやり取りにもいい加減、飽き飽きしてきたので、俺は今日ですべてを終わらせるつもりだった。 その為に今夜、梛音を自分の行きつけの店に連れてきたのだ。
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