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梛音が憐のイク顔をこんな風にじっくりと見たのは、憐を抱いた夜以来の事だった。いつも自分の方が先に意識を失くしていたからだ。
自分の身体で誰かを気持ち良くさせる事が、こんなにも自分を幸福で満たされた気持ちにさせるなんて、今まで知らなかった。
僕たちがセックスをした処で、決して生命など作り出せないのは、百も承知だ。そうだとしても、ただの傷の舐め合いなのだとしても、僕は憐と出会えて今、互いに求め合ってセックス出来る事が、この上なく幸せだ。
もう一度人生をやり直したとしても、又憐と出会う為に僕は同じ様に生きる事を選ぶだろう。そしてそれはきっと憐も同じだ。
「梛音〜お前イッてないだろう?何が一緒にイこうな、だ。この嘘つきめ‼︎」
「そんなの、今始まった事じゃないだろ?」
「ちぇっ、開き直りやがって」
「憐…僕もいつか親になれるのかな?」
「ああ、慣れるさ。きっと甘々な親バカになるだろうさ」
「そうかな?…だといいな」
二人は将来の幸福な姿を想像しながら、互いに抱きしめ合って眠りについた。それはきっと楽しい楽しい夢。たくさん傷ついて来た二人にしか作り出せない、優しい優しい未来の姿だ。
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