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秋葉原上空。 今度は魔界のゲートの直上(ちょくじょう)に雲が天使のかたちを取り始めていた。 たまたま別件の映像を撮影していた報道のヘリコプターが天使のかたちをとる雲と、その下のゲートやクラッシュした自動車などを撮影している。 すぐに雲は本物の天使になった。 まるまるとした体型の幼女めいた身体に、四枚の羽を羽ばたかせながら、天使はゆっくりと宙を移動し、光の槍を地上めがけて放っている。 理彩が交接後の恍惚を味わい、油断しているところを投擲(とうてき)された光の槍で殺されたことは、小悪魔同士の無意識共鳴で皆に共有された。 自分たちが危機に瀕していることを悟った残りの「りさ」たちの逃走は素早かった。無理矢理、エッチしている最中に強く締め上げてエキスを吸収するとすぐ小悪魔の正装に変身し、男性器のような浮行体(フロート)に乗って窓や壁をぶち壊し、外へすさまじい速度で逃げ出す。 蛇行しながら逃げている梨沙に光の槍が襲う。十字路を曲がろうと浮行体の速度を緩めた瞬間に、彼女の腹部を光の槍が貫いた。光の槍はそのままツクモex.館の黒い外壁まで貫き、梨沙を(はりつけ)にした。腹部と口から大量に出血している。 ツクモex.館の角を曲がろうとして、理佐が「くそっ!」と舌打ちをした。 すでに残りの「りさ」たちは秋葉原香草の店から魔力が感じられるのに気づいていた。 ミレナが距離的に近かったのでまっすぐに秋葉原香草へ逃げ込んだ。 残り三人の「りさ」がそこへ逃げようと飛んでくる。 最後尾の理佐が天使から狙われ、秋葉原香草へ入る直前に連続して放たれた光の槍で路上に叩きつけられた。その悲鳴を聞きながら、とりあえずは秋葉原香草店内に入れた「りさ」とミレナはおばあさんが魔女──それもかなりの技量を備えた──だと知る。
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