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なんの前触れもなく、秋葉原中央通り、ドン・キホーテ、ツクモex.館と斜向かいのトレーダーのあるあたりに空気の破裂音が大きく響いた。また、その爆心地から同心円状に激しい振動が襲う。 アスファルトの煙のなかに、白く巨大なゲートが出現した。 大きな岩のような外見で、外縁にはびっしりと黒い薔薇が描かれている。ぽっかり空いた中は黒と白の配色のマーブル模様が踊っている。 ちょうどその辺りを走っていた自動車がゲートにぶつかり、ひしゃげてしまう。次々と走行中の自動車が玉突き事故になる。 壊れた自動車のクラクションや車上荒らしのアラームが鳴り続けるなか、ゲートからラバーの服を着た異形(いぎょう)の少女たちが現れる。 Vの字の編隊を組んで、男性器をモチーフにした浮行体(フロート)(また)がっている彼女たちは、(つの)や羽や尻尾を生やし、ボトムは脚()りが深く、トップはホルターネック状になったセパレートのラバースーツを着用している。Vの字がゲートから全員そろったとき、最後尾にノートパソコンを背中に着用している少女が姿を見せた。 六人の少女たちは速めの速度で移動する浮行体を止め、きゅっ! と鳴くと浮行体から道路に降りた。 観光客も通行人もスマホで動画を撮っている。 彼女たちは魔界からやって来た小悪魔だった。 Vの字を作っていた子たちは、全員名前が「りさ」だった。小悪魔っぽい名前として、理彩、里沙、理佐、梨沙、梨紗……。しんがりを務めるノートパソコンを背負った少女だけが、ミレナという。 浮行体を一瞬で小さくすると、やはりラバー製のウエストポーチに仕舞った。 彼女たちの眼には小悪魔アイという特殊な能力があり、ミレナがパソコンから指示を出すと、行き先のハーブの店へのナビゲーションが網膜に浮かんだ。小走りに彼女たちは目標のお店へ急ぐ。 この時点で、SNSなどのタイムラインのトレンドになった。秋葉原のライブカメラもこの小悪魔たちの出現を映してい、ネット上ではもう一部が騒然としていた。
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