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ある男の人の話をしようと思う。私の話を真剣に取り合ってくれた人の話。
私は小さい頃から自分の力のせいで疎まれてきた。
小学校の時、クラスで仲が良かった女子のお母さんが死んでしまうことがわかって、それを友達に言ってしまった。
その数日後に本当に亡くなって、私は悲しんだ。よその子の私にも優しくしてくれたお母さんだったから。
でも、友達は
「なんでお母さんが死ぬなんて言ったの。絵里のせいだ」
と言ってそれっきり口を利いてくれなくなった。
その時の私は、ただ死ぬってわかっただけなのに、どうしてそんな風に言われるのかわからなかった。誰も私の話を信じてくれなかった。
気持ち悪い。悪魔、魔女、呪い女、色々言われた。言われた事よりも、みんなが信じてくれないことが悲しかった。悔しかった。
学校が嫌いになり、行きたくなくなった。でも、親は行けと言う。もうすぐ離婚するくせに。私なんかいらないくせに。
親が離婚した後、どちらも私を引き取りたがらず、なんだか怪しげな人たちの元で暮らすことになった。
力の使い方を教えてくれた。見えたことを全部言ってはいけないと。
たとえ知っても、止められない事はたくさんあるから、それは仕方ないことだと諦めなさいと言われた。
よくわからなかったけど、「はい」と頷いて、私は別の学校に移る事になった。それから、色々なところを転々とした。
私の力のことは誰にも言わなかった。中学になって一人で浮いていても、気にせず過ごした。
友達なんてできなかった。力のことがバレたくなくて、よそよそしい態度しかできなかったから。
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