西の空のさびしんぼう

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モックじいさんと彼を乗せた雲は、西の空へ向かうあいだ、ひと言も口をききませんでした。ケンカをしたわけではありません。これまで見てきた三つの雲の言うことを、頭の中でくり返し考えていたからです。 そして今度も簡単に雲たちを見つけることができました。 なぜなら、西の空で赤く燃える太陽が、雲たちを半分、茜色に染めていたからです。影になった部分は、深い海をそのまま切り取ったように、濃い青色で塗りつぶされていました。 モックじいさんは雲たちの中ほどに進み出ました。
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