ダンゴムシ

1/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
寮母の今日子さんは娘のよしのちゃんを連れて来ていた。 「おにいちゃん!あそんであそんで」よしのちゃんは退屈だったのか寮に住んでいる俺たちに甘えて言う。父親が病気で亡くなってしまい父親が恋しかったのかもしれない。 「おう、よしのちゃんオレとままごとやるか!」 「よしのちゃん、オレとかくれんぼやろう!」 今日子さんは俺たちがそう言うと嬉しそうな顔をした。そんな今日子さんの笑顔を見られただけで胸が熱くなる。 「よしの、ダンゴムシがほしい」 「えっ、ダンゴムシ?」 二人は顔を見合わせた。最近みかけたことがない。 「いるかな?」「どうかな?」 俺たちはそれぞれに考えてみる。そしてほとんど同時に「あ、隣町の公園!」と叫んだ。 「よしの、たくさんダンゴムシ取ってきたお兄さんのお嫁さんになりたい」 今日子さんは洗濯物を取り込んでいた。 よしのちゃんに好かれれば必然的に今日子さんの好感度も、上がる! 「ここらへんかな?」 俺達は花壇の縁の辺りを目を凝らして探して見る。 健の奴は砂場で探しているようだ。チラチラこちらを伺いながら何かをつまんでは瓶に入れていった。 マジか あんなところにいるのか? でも幼少の頃には確か花壇にいたはず。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!