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陰翳【隼人編】
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▪陰翳シリーズ/隼人独白。
▪時系列:if章突入編~
▪暗鬱。白夜狂い筆頭ktkr
▪補足→白い装飾品=嫁の悟
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“偽物”だ。模造品にすらなりやしない。
何度淫楽に身を窶したって、所詮は唯の暇潰し。人間活動の延長戦。
俺は一体何時まで、この紛い物に律動し続けなきゃならないのか。
暇を殺す為だけに人間やって、周囲を御立派な装飾品で飾り
立てて。我ながら、至極愚蒙よ。最早自嘲も飽きたわ。
此所に充足感なんてものは、絶無同然。
白夜だけで良かったのに。何時だって俺は、アイツさえ居りゃ他は虫螻。良くて猿曳の猿。欲しない限り、気鬱な存在でしかない。
俺が欲しいのは、滅びを彩るアイツの世界だけ。欲望の赴くままに、侵蝕し続けて居たかった。
それこそが俺の耽美、本望、至福。
白夜、お前はな。俺だけを望んで、縋りついて、求めて、その他には怯者で在り続ければ良かったんだよ。
闇底を彷徨い、溺れては藻掻くその姿こそが、お前が一番魅力的に映る方法だと何故気付かない?
お前に存立なんて言葉は要らない。俺だけでいい。
だからさっさと戻って来い。飽きた。飽きたんだよ、もう。
どうせ他に逃げたって、俺以上のものはない。
ほら、お前が素を晒せば、俺以外の男は皆ドン引いて去って行くだろ?
俺しかいないと再認識する為の道具にしかなってねぇって、そろそろ気付けよ。
俺に全てを任せろ。それで以て、死を彩れ。
それを望まないお前に価値はない。俺もまた、魅力半減よ。
嗚呼……面倒くせぇ。面倒臭い事この上ない。
重い。疲れる。煩わしい。鬱陶しい。投げ出したい。ひたすらに刺し殺したい。
こんな装飾品に固められた姿 惨めよ、惨め。
お前が俺の元に戻ってくるなら、装飾品なんざ全て廃棄するのに。
いい加減、この装飾音も耳障り。
耳に鳴り響く度に心地良かった、お前の声が聞きたい。
白夜が脳裏に過る度に、この白に塗れた装飾品を磨く行為が一等煩わしく感じる。
嗚呼。本当に色が変わらねぇ在り来たりな装飾品だこと。
早く使い物になんねぇ程に、砕けちまえや。
所詮、俺を着飾らせる以外に用途が無いんだからよ、お前は。
END
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