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「い、犬に教えて貰うって……。おじさん、本当に動物と会話できるんだね。」
星矢の顔に浮かぶ疑念の色が、徐々にではあるが和らいでいく。
「何だい、まだ僕のこの能力、信じてなかったのかい?
まあ、いいよ。君たちにとっては、あり得ない能力なんだからね。
それよりも、さあ、このワンちゃんを説得しないことにはなにもはじまらないよ。そうだろ?」
「え?どういうこと?おじさん。」
星矢が、再び首を捻る。
「わかりにくかったかな?さっきも言ったように、この犬はいつもありきたりな同じパターンの散歩にうんざりしてたんだよ。それに加え、散歩担当のその家の男の子は、恐らく君と同い年ぐらいだと思うけど、散歩中ずっとスマホっていうのかな?ほとんどの人が持ち歩いてる機械、それをずっと触ってて自分のことは全然構ってくれないんだとさ。だから、もう嫌気がさして逃げてきたんだよ。」
「………、そ、そっかあ……。でも、一応毎日散歩には行ってくれてたんだよね?」
星矢が上目遣いでその男性を見ると。
「確かに毎日は行ってくれてたらしんだが……。この犬を代弁するとね、ただただ回数行けばいいってもんじゃない。散歩は、犬にとって飼い主との絆を深める場で、また僕たち犬にとっては情報収集の場だぞ!ってちょっと怒ってるんだよね。まあ、通訳するとこんな感じかな?」
その男性は、セリフを吐き終えるとずっと傍らに寄り添っているゴールデンレトリバーの頭を優しく撫でた。
だが、星矢は男性の言葉を聞いて、カナヅチでぶん殴られたような衝撃を受けた。
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