8人が本棚に入れています
本棚に追加
「………、ええ〜〜?!お、おじさん、難しいこと言うね?僕には、何が何だかさっぱり分からないよ。」
「ちょっと、君にはまだ難しかったかな?まあ、分かり易い例で言うなら、さっき君が指摘した僕が手首につけているもの……。これは、僕のモノでも、誰かのモノでもないってことだよ。」
「う〜〜〜ん、じゃあ、誰のモノなの?」
星矢はしきりに首を捻っている。
「あははははっ!! だから、誰のモノでもないんだよ。君は完全にこの世界の既成概念の虜になってしまっているね。まあ、この事は、君自身には全く責任はないんだけどね。
とりあえず、議論はこれぐらいにしておいて、そろそろこのわんちゃの家を探しに行こうじゃないか?」
と、その時だ。
「ウォン!!」
ずっと大人しくお座りしていた、ゴールデンレトリバーがタイミングよく
吠えたのだった。
「ほら!ワンちゃんも、早く行こうよって言ってるよ。僕がちゃんと案内するからさあって。」
その言葉を言い終わるやいなや、男とゴールデンレトリバーがほとんど同時に歩き出した。
「ちょ、ちょっと、待ってよ!」
星矢が、不意を突かれて出遅れてしまい慌てて跡を追う。
最初のコメントを投稿しよう!