ある男

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 だが、サングラスの男性には星矢の声が届いていないのか、返事はおろか振り向く素振りさえ見られない。 「ねえ、おじさん、おじさんってば、聞こえてないの?」  焦ったい思いに駆られた星矢が、その男性の右肩をに手を乗せようとした時だった。 「お、おっと、おじさん、急に動かないでよ。僕の声ちゃんと聞こえてた?」  急に振り向かれバランスを崩しそうになった星矢を確と抱き抱えたその男性が、その独特な声色で話しかけてきた。 「もちろん、聞こえてるよ。そんなに大きな声を出さなくても。 ずっと、この大型犬と会話をしてたからね。会話に集中し過ぎて、君の声に気付くのが遅れてしまったよ。」 「??? か、会話? お、おじさん、本当に犬と会話できるの?」 星矢の双眸が大きく見開かれていく。
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