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失恋して落ち込む私に、あなたが突然プレゼントしてくれた花はすずらんだった。
白く小さな鈴のような花をいくつもつけるすずらん。やさしい香り。
「すずらんは春の訪れを告げる花なんだよ」
あなたは照れてうつむいたまま言った。
「え?」
どうして照れているのか分からなかった。戸惑う私に絞り出すような声であなたは。
「すずらんの花言葉は『再び幸せが訪れる』なんだって」
その時わかった。それがあなたの告白の言葉なのだということに。
すずらんも私の手の中で、照れたようにうつむいている。「チリン」って音が聞こえた気がした。希望の鐘の音。
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